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大沢樹生さん、長男と「親子関係なし」判決ーーポイントは結婚後ギリギリ「200日」
2015年11月20日 14時49分

元・光GENJIの俳優・大沢樹生さん(46)が、元妻で俳優の喜多嶋舞さん(43)との結婚中に生まれた長男(18)について親子関係がないことの確認を求めた訴訟で、東京家裁は11月19日、親子関係がないことを認める判決を言い渡した。

大沢さんと喜多嶋さんは1996年に結婚した。結婚当時、喜多嶋さんは長男を身ごもっており、妊娠3カ月だった。結婚して7カ月目に長男が生まれたが、2005年に離婚。その後、大沢さんが長男を引き取り面倒を見ていたが、2013年に実施したDNA鑑定で「親子関係は0パーセントという結果が出た」と明らかにしていた。

今回の判決で、大沢さんの訴えが認められたポイントは何だったのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。

元・光GENJIの俳優・大沢樹生さん(46)が、元妻で俳優の喜多嶋舞さん(43)との結婚中に生まれた長男(18)について親子関係がないことの確認を求めた訴訟で、東京家裁は11月19日、親子関係がないことを認める判決を言い渡した。

大沢さんと喜多嶋さんは1996年に結婚した。結婚当時、喜多嶋さんは長男を身ごもっており、妊娠3カ月だった。結婚して7カ月目に長男が生まれたが、2005年に離婚。その後、大沢さんが長男を引き取り面倒を見ていたが、2013年に実施したDNA鑑定で「親子関係は0パーセントという結果が出た」と明らかにしていた。

今回の判決で、大沢さんの訴えが認められたポイントは何だったのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。

●「推定」の規定が適用されないケースだった

「親子関係を推定する民法の規定が適用されなかったことが、ひとつのポイントになったと思います」

冨本弁護士はこのように述べる。どんな規定だろうか。

「民法には、結婚した日から200日を経過した後に生まれた子を夫の子と推定するという規定があります(民法772条2項)。『嫡出(ちゃくしゅつ)推定』と呼ばれています。

つまり、結婚した日から201日目以降に生まれた子は、法的には、夫の子として扱われるということです。この推定は、容易なことでは覆りません。最高裁判例でも、DNA鑑定のような科学的な証拠で親子関係がないと証明しても、『嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえない』と判示しています(最高裁平成26年7月17日)。

最高裁がこうした態度でいるのは、『嫡出推定』の規定が、子どもの身分関係の安定を目的としているからだといわれています。父親の利益よりも、子どものことを最優先に考えようという価値判断があるのでしょう」

●最高裁判例との関係は?

では、今回の判決では、なぜ、大沢さんの訴えは認められたのだろうか。最高裁の判例とは異なった判断をしたということだろうか。

「今回のケースでは、報道を見る限り、長男が生まれたのは、大沢さんと喜多嶋さんの結婚後ちょうど200日目だったということです。ギリギリ、嫡出推定を受けない時点だったわけですね。

そのため、裁判所は客観的に親子関係を判断して、DNA鑑定などの証拠も提出されていたことから、大沢さんと長男の間に親子関係がないと判断したのではないでしょうか。

条文が適用されなかったということですから、最高裁の判例と異なった結論が出たわけではありません。嫡出推定が、DNA鑑定の結果という証拠によって覆ったわけではないのです」

●嫡出子だけど『嫡出の推定は受けない』という意味は?

嫡出の推定を受けなかった場合でも、出生届などの手続きは、問題なくできるのだろうか。

「本来であれば、先に出生届を提出して、その後認知届を出すという流れになるはずです。しかし、そうした手続きは煩雑なので、戸籍実務では、結婚したあと200日以内に生まれた子も、一律に嫡出子として扱われています。

いわゆる『できちゃった結婚』などでは、そうしたケースが多いのではないでしょうか」

では、200日以内で生まれた場合であっても、子どもにとっては不利益はないということだろうか。

「そうではありません。結婚後200日以内に生まれた子どもは、『嫡出の推定』を受けることができません。ちょっとややこしいですが、こうした子は『推定されない嫡出子』と呼ばれています。

法律上の『嫡出の推定』を受けている場合、父親が推定を覆して、親子関係を否定するためには『嫡出否認の訴え』という特別な訴えが必要になります。提訴期間は子どもの出生を知ったときから1年間で、提訴権者は父親に限られています。子どもの身分を早期に安定させるために、こうした制限があると考えられています。

一方で『推定されない嫡出子』の場合、こうした期間などの制限はありません。今回のケースのように、生まれてから何年たった後でも、『親子関係は存在しない』として裁判を起こされて、親子関係が否定される可能性があります」

冨本弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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