この事例の依頼主
20代 男性
1 事故発生の状況20代男性のDさん(アルバイト 福岡県北九州市在住)は、青信号に従って横断歩道を自転車で進行中、交差点を左折してきた四輪車に衝突され転倒し、第3腰椎圧迫骨折のケガを負われました。2 ご相談及びご依頼の経緯Dさんは事故直後から入院し、約2ヶ月後退院されましたが、今後の手続きや交渉をどうすれば良いかわからないので専門家に任せたいとのことで、当事務所にご依頼をされました。
1 当事務所の活動など当事務所は、Dさんに通院期間や後遺障害診断等のアドバイスを行い、自賠責保険の後遺障害認定を申請したところ、腰椎の変形について11級7号の認定を受けました。このような後遺障害を前提に加害者側保険会社に対して賠償請求をしたところ、逸失利益を約820万円と算定する等により、約1010万円の支払提示をしてきました。上記提示は、「Dさんの労働能力が10年間14パーセント、その次の10年間10パーセント減少する」という前提に立つものでしたが、著しく低額であり、到底容認できるものではありませんでした。当事務所の弁護士は、Dさんの主治医に面談して腰椎圧迫骨折後の腰痛がいかに労働の支障となるかについての意見書を頂くなどして、加害者側に対する訴訟を提起し、争いました。2 事件処理の結果本件は、裁判所から文書による和解提案がなされ、これに沿った和解が成立しました。争点である逸失利益については 約820万円 → 約1340万円 へ増額後遺障害の慰謝料について 約370万円 → 420万円 へ増額全体では保険会社による提示額 解決額約1010万円 → 約1600万円(※)という、約1.6倍の増額となりました。※ 人身傷害保険金の請求による取得額を含む獲得総額
本件は、Dさんの後遺障害が「脊柱の変形11級7号」という内容であったところに特徴があります。この障害については、解決事例のCさんの項目でもご説明しましたが、保険会社側から「軽微な変形に過ぎず、実生活には何ら支障が無いから、逸失利益は無い(あっても非常に低い)」という主張がなされることが多いのです。本件では、当事務所からの最初の請求に対する加害者側の最初の提示額は「約1010万円」でしたが、もし弁護士が付いていない状態で交渉した場合、最初の提示額はもっと低いものであった可能性が高いと思われます。訴訟の中でも、加害者側は「脊椎の変形障害は労働能力に影響しない」などと、逸失利益について強く争ってきました。これに対し、当事務所は主治医にご作成頂いた意見書等の立証を行い、裁判所から「腰椎の圧迫変形の程度が軽微とは言えない」という評価を前提にした和解案を出して頂くことができました。