この事例の依頼主
70代 女性
相談前の状況
依頼主の夫が夜間、腰痛を訴え、A病院に救急搬送された。搬送先の医師は問診、腰部の触診、腰背部のエコー等で整形外科的な痛みであると診断し、CTをとることなく帰宅させた。相談者の夫はその数時間後に自宅で倒れ、B病院に救急搬送され、間もなく腹部大動脈瘤破裂による出血性ショックで死亡した。最初に救急搬送された病院は、十分な問診と触診の結果、整形外科的な痛みと判断したものであり判断に過失はないと主張していた。
解決への流れ
受任後、取得したB病院で撮影したCDをみると大きな腹部大動脈瘤が確認できた。カルテ、文献等を調査すると問診、触診も不十分なものと思われた。協力医と面談し、意見を聞くと、「A病院でCDをとっていれば腹部大動脈瘤は確実に確認できた。この大きさであれば腹部の触診でも確認できた」等の意見をいただき、A病院の代理人と交渉したが、合意にいたらず提訴。裁判所で数千万円の金額で和解成立。
本件は、医師の過失が明らかな事案と思われ、提訴前に和解すべき事案と考えました。相手方代理人の説得に努めたが、合意にいたりませんでした。提訴してからの相手方の主張は、論点を十分に把握していないものとの印象を受けました。その点、裁判所もよく理解してくださり納得できる金額の和解勧告をされ、解決にいたりました。患者、依頼主の無念を少しでも晴らすことができたのではないかと思います。