この事例の依頼主
30代 女性
相談前の状況
B子さんはがん検診で悪性腫瘍と診断されて腫瘍摘出術を受けました。しかし、摘出した腫瘍の病理検査をしたところ、良性であり悪性ではなかったのです。術前に病理検査を行った検査機関が判断ミスをしていました。事情を知ったB子さんは病院に謝罪を求めたのですが、病院は検査機関のミスであり責任は無いと主張し拒絶しました。B子さんは、自分と契約して診療していた病院に全く責任がないというのはおかしいのではないか、と納得が行かない様子で相談にみえました。
解決への流れ
B子さんの依頼を受けて、病院と検査機関を相手に交渉したところ、検査機関はミスを認めたのですが病院は頑として責任を認めませんでした。そこで、病院と検査機関を相手に損害賠償請求の裁判を起こしました。その結果、検査機関が400万円余りの賠償金を負担するとともに、病院も独自に200万円余りの賠償金を負担することになりました。病院も、主治医が良性の可能性が高いと判断していたことを検査機関に伝えていなかった点に責任が認められるという裁判官の意向を踏まえて、賠償に応じました。相談を受けてから和解終結まで3年程度を要しましたが、B子さんは胸のつかえがおりたと、とても満足されていました。
検査機関が診断ミスを認めて謝罪しており検査ミスの経過を開示してくれていましたので、裁判は進めやすかった事例です。誤って手術を受けたB子さんの腕にしびれが残った状態でしたので泣き寝入りすることはできませんでした。検査結果を盲信した病院が責任を認めたことから、先例的意義はそれなりにあったのではないかと思います。