この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
企業間での建物の賃貸借に関する賃貸人側からの相談です。相談者は、賃借人より、新型コロナウイルスの感染拡大による経済情勢の悪化を理由に、賃料の減額を求められ、賃料の一部については期限までの支払がなされませんでした。
解決への流れ
賃借人の減額請求には、賃貸借契約上及び民法上の明確な根拠がないものと考えられました。他方で、未曾有の事態であり、契約の存続には、賃借人に対する一定の配慮も必要であると考えられたため、賃料支払期限を一定期間猶予することによる解決を助言しました。その後、相手方に代理人が就任し、賃料の減額請求を維持してきたため、当方は、契約上も民法上も減額請求を行うことができる要件が充足されていないことにつき詳細に反論を行いました。結果、相手方は賃料減額の請求を断念し、賃料の滞納も解消されました。
一定の事情の変更による当事者間の得失については、原則として、当事者のビジネスリスクとして処理されるべき問題です。まずは契約内容、法律の規定が出発点であり、要件を充足していない限り、どのような事情があっても賃料の減額は認められないのが原則です。このことを繰り返し丁寧に説明したことにより、相手方の請求を断念させることができたのだと思います。