この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
交通事故で頭部外傷を負い、その後、言語性の記憶障害を中心とする高次脳機能障害と思われるような症状が残存してしまった方から相談を受けた案件。依頼者さんには事故時の記憶がなく、そのために加害者が自身の過失割合を低く主張してきたため、加害者側の保険会社からも十分な対応が得られない状況であった。
解決への流れ
当面の資金は自賠責保険に対する被害者請求により確保した上で、過失割合と後遺障害を争って訴訟を提起した。自賠責保険の高次脳機能障害の基準は満たさなかったため、自賠責保険では高次脳機能障害については後遺障害の認定を受けられていなかったが、訴訟の結果、非器質性の精神障害としてではあるものの、記憶障害に関して9級相当の後遺障害であることを前提に裁判上の和解が成立した。
事故直後にCTやMRIなどの画像所見で異常がなかったことが、自賠責保険の基準を満たさなかったため、自賠責保険でも後遺障害の認定を受けられませんでしたし、訴訟でも、結局、高次脳機能障害の認定は受けられませんでした。しかし、依頼者さんが事故による影響を受けて、事故前と後で明らかに大きく変わってしまったということを工夫して立証した結果、裁判官に理解してもらえたようで、非器質性の精神障害としてではありますが、記憶障害に関して9級相当の後遺障害であることを前提に和解案を提示してもらうことができました。また、事故の過失割合についても、実況見分調書の内容などから、加害者の言い分に無理があることを明らかにし、加害者側の過失割合が大きいということも認めてもらうことができました。